「目は、見張りのように身体の最も高い位置を占めている」

マルクス・トゥッリウス・キケロの名言
マルクス・トゥッリウス・キケロの名言

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。

英文

”The eyes like sentinel occupy the highest place in the body.”

日本語訳

「目は、見張りのように身体の最も高い位置を占めている」

解説

この言葉は、目という感覚器官の役割と象徴的地位を、身体の構造にたとえて称えたキケロの表現である。彼は、目が頭部という最上部に位置することに意味を見出し、それを「見張り(sentinel)」に喩えることで、視覚の重要性と先導的機能を強調している。つまり、目は情報の入口であり、世界を把握し行動を決定づけるための最前線の役割を担うという認識がこの言葉に込められている。

この比喩には、キケロの自然の秩序と目的に対する信念(テレオロジー的自然観)が表れている。身体の構造は偶然ではなく、理性ある存在である人間にふさわしい設計と機能を持っているとする立場から、目が「見張り」として高い位置にあるのは自然の意図であり、視覚が知性や判断の源泉として最も尊重されるべきだという価値観が浮かび上がる。

現代においてもこの言葉は象徴的な意味を持つ。情報社会において「見ること」「見抜くこと」は知識や判断に直結し、また比喩的に「目を光らせる」ことは警戒や注意深さの表現として使われる。さらに、監視社会や情報過多の現代において、「目」が果たす役割の重さや、正しく見る力の重要性はますます高まっている。キケロのこの言葉は、身体の構造を通じて人間の理性と認識のあり方を深く洞察し、それを象徴的に語った古代の知恵として、今なお響き続けている

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