「自然は私たちの心に、真理を見たいという飽くなき渇望を植えつけた」

マルクス・トゥッリウス・キケロの名言
マルクス・トゥッリウス・キケロの名言

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。

英文

”Nature has planted in our minds an insatiable longing to see the truth.”

日本語訳

「自然は私たちの心に、真理を見たいという飽くなき渇望を植えつけた」

解説

この言葉は、人間の精神に本質的に備わった「真理への欲求」が、自然そのものから与えられた根源的な衝動であるというキケロの認識を表している。彼は、人間は単に生きるためだけの存在ではなく、理性をもって真理を求める存在として自然によって造られたと信じており、その渇望は道徳・哲学・科学・宗教など、あらゆる文化的営みの根本動機であると考えた。

この思想は、キケロの自然法思想やストア派的哲学観とも一致しており、理性と自然の一致、そして「知を愛すること」が人間の本質に深く根ざしているという見方に支えられている。彼にとって「真理(veritas)」とは、単なる事実の正しさを超え、宇宙の秩序、人間の倫理、社会の正義にまで及ぶ普遍的原理であり、それを求める心は自然の中で最も高貴な衝動であった。

現代においてもこの言葉は、科学的探究や哲学的思索、さらには日常における知的誠実さに対して、力強い根拠を与える。フェイクニュースや情報操作が横行する時代においても、人々の中にある「真実を知りたい」という欲求は消えていない。キケロのこの格言は、真理への探究が人間存在そのものに根差したものであり、それを追い求める姿勢こそが、自由で理性的な生の証であることを高らかに示している。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る