「私が知りたいのは、黒人の血を指から滴らせている白人が、どうして黒人に『自分を憎んでいるのか』と尋ねる厚かましさを持てるのかということだ。それには相当な図々しさが必要だ」

マルコム・X(画像はイメージです)
マルコム・X(画像はイメージです)
  • 1925年5月19日~1965年2月21日(39歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 黒人解放運動家、公民権活動家

英文

”What I want to know is how the white man, with the blood of black people dripping off his fingers, can have the audacity to be asking black people, ‘Do they hate him?’ That takes a lot of nerve.”

日本語訳

「私が知りたいのは、黒人の血を指から滴らせている白人が、どうして黒人に『自分を憎んでいるのか』と尋ねる厚かましさを持てるのかということだ。それには相当な図々しさが必要だ」

解説

この言葉は、マルコム・Xが加害者と被害者の立場の逆転を批判した発言である。アメリカ社会において白人は奴隷制やリンチ、制度的差別を通じて黒人を抑圧し続けてきたにもかかわらず、黒人が抱く憎悪や敵意を問題視するのは理不尽であると彼は訴えている。ここでの強調点は、憎しみの責任は被害者ではなく加害者にあるという道理である。

背景には、公民権運動の時代に黒人の怒りや抵抗が「憎悪の表明」として非難される風潮があったことがある。白人社会は自らの差別や暴力を省みるよりも、黒人の態度を問題視することで責任を転嫁していた。マルコム・Xはその構造を突き、道徳的正当性の所在は黒人側にあることを明確にしたのである。

現代においても、この言葉は深い意味を持つ。差別や不正義の問題を語るとき、被害者の感情や抵抗が過剰に注目され、加害者の責任が曖昧にされることがある。例えば人種差別、性差別、移民問題においても同様の構図が見られる。マルコム・Xの言葉は、加害の歴史を直視せずに被害者の憎悪だけを咎めることの不当さを鋭く突いている。

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