「白人は私に自分たちの歴史書を読ませたことが間違いだった。彼らはパトリック・ヘンリーを愛国者だと教え、ジョージ・ワシントンについても教えた――だがパトリックやワシントンに非暴力的なものなど何一つなかった」

- 1925年5月19日~1965年2月21日(39歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”The white man made the mistake of letting me read his history books. He made the mistake of teaching me that Patrick Henry was a patriot and George Washington – wasn’t nothing non-violent about old Pat or George Washington.”
日本語訳
「白人は私に自分たちの歴史書を読ませたことが間違いだった。彼らはパトリック・ヘンリーを愛国者だと教え、ジョージ・ワシントンについても教えた――だがパトリックやワシントンに非暴力的なものなど何一つなかった」
解説
この言葉は、マルコム・Xがアメリカの建国神話の二重基準を鋭く突いたものである。アメリカの歴史教育では、パトリック・ヘンリーやジョージ・ワシントンのような人物が「自由のために闘った英雄」と称えられている。しかし、彼らが用いた手段は決して非暴力ではなく、武力と革命によるものであった。マルコム・Xはこの事実を突きつけ、黒人が自由を求めて闘う際に暴力を否定するのは偽善だと批判したのである。
背景には、公民権運動の中で非暴力主義が強調される一方、黒人が暴力的手段を口にするだけで非難される現実があった。マルコム・Xは、白人の歴史そのものが暴力を伴う闘争によって築かれている以上、黒人が同じ手段を選ぶことを否定する根拠はないと主張した。この論理は、歴史の一貫性と正義の二重基準を問い直すものであった。
現代においても、この指摘は強い意味を持つ。国家や社会はしばしば「自らの暴力は正義」としながら、弱者の抵抗を「暴力」と断罪する。例えば独立戦争や革命は称賛される一方、植民地解放運動や人種解放闘争は危険視されることがある。マルコム・Xの言葉は、歴史教育に潜む権力の視点とその矛盾を明らかにし、自由を求める闘争の正当性を再考させるものである。
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