「マーティン・ルーサー・キング博士の目標は、黒人に、400年間彼らを虐げてきた同じ白人の隣に、隔離されたレストランで座る機会を与えることである」

マルコム・X(画像はイメージです)
マルコム・X(画像はイメージです)
  • 1925年5月19日~1965年2月21日(39歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 黒人解放運動家、公民権活動家

英文

”The goal of Dr. Martin Luther King is to give Negroes a chance to sit in a segregated restaurant beside the same white man who had brutalized them for 400 years.”

日本語訳

「マーティン・ルーサー・キング博士の目標は、黒人に、400年間彼らを虐げてきた同じ白人の隣に、隔離されたレストランで座る機会を与えることである」

解説

この言葉は、マルコム・Xがマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの非暴力主義と融和的姿勢を批判した発言である。彼にとって、キングが目指した統合は、黒人が白人社会に受け入れられることを目的とするに過ぎず、根本的な黒人の自立と尊厳の回復をもたらすものではないと考えられた。ここには、黒人解放運動の戦略をめぐる根本的な対立が表れている。

背景には、1960年代の公民権運動の二つの潮流がある。キングは非暴力的抵抗によって白人社会との統合を目指したが、マルコム・Xはその姿勢を「屈従的」と見なし、むしろ黒人社会の独立と強化を訴えた。彼にとって統合とは、抑圧者と同じテーブルにつくことではなく、抑圧から完全に解放されることを意味していた。

現代においてもこの言葉は示唆的である。社会的平等をめぐる議論において、単に形式的な統合や参加を目指すのか、それとも権力構造の変革と自立を重視するのかという問題は繰り返し現れる。例えば多様性や包摂の名の下に少数派が表面的に受け入れられても、根底にある差別や不平等が解消されない限り真の平等には至らない。マルコム・Xの批判は、その点を鋭く突いている。

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