「私は故郷を築き、言語の中に自らの国家さえも打ち立てた」

マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
  • 1941年3月13日~2008年8月9日(67歳没)
  • パレスチナ出身
  • 詩人、作家、政治活動家

英文

”I’ve built my homeland, I’ve even founded my state – in my language.”

日本語訳

「私は故郷を築き、言語の中に自らの国家さえも打ち立てた」

解説

この言葉は、故郷や国家という概念を現実の領土ではなく言葉の中に築いたという詩人の決意を示している。亡命と占領によって物理的な故郷を奪われたダルウィーシュにとって、詩を生み出す言語こそが祖国であり、アイデンティティの拠り所であった。彼は文学の中に「失われた国」を再構築し、民族と個人の存在を証明したのである。

マフムード・ダルウィーシュはパレスチナ問題を背負った詩人として、現実における国民国家の不在を痛感していた。しかしその一方で、言語と詩によって精神的な祖国を築くことに成功した。彼の言葉はパレスチナ人の記憶や夢を繋ぎ、散り散りになった人々に共通の帰属意識を与える役割を果たした。この言葉は、その詩的使命を端的に表している。

現代においても、この名言は示唆に富む。国を失った人々、あるいは移民やディアスポラの人々にとって、言語や文化が「心の祖国」となり得ることを思い起こさせるからである。したがってこの言葉は、故郷を奪われてもなお、人は言葉を通して自らの国家を築き直すことができるという強い希望と誇りを表明しているのである。

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