「歴史は被害者にも加害者にも嘲笑を向ける」

マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
  • 1941年3月13日~2008年8月9日(67歳没)
  • パレスチナ出身
  • 詩人、作家、政治活動家

英文

”History laughs at both the victim and the aggressor.”

日本語訳

「歴史は被害者にも加害者にも嘲笑を向ける」

解説

この言葉は、歴史の視点が個人や民族の悲劇や勝利を超えて、冷酷に両者を見つめるという洞察を示している。被害者は苦難の中で自らの悲劇を絶対化しがちであり、加害者は力による支配を誇示しがちである。しかし歴史は長い時間の中でそれらを相対化し、どちらも永続的な勝者や正義としては残さないのである。

マフムード・ダルウィーシュは、パレスチナ人として被害者の立場を生きながらも、歴史が単純な善悪の構図で描けない冷厳さを理解していた。彼の詩には、被害者の痛みだけでなく、人間の権力欲や暴力が繰り返されることへの批判的なまなざしが込められている。この名言は、彼が単なる民族の代弁者ではなく、歴史の本質を見抜く詩人であったことを物語っている。

現代においても、この言葉は普遍的な警告を与える。戦争や対立においては、どちらの側も時間が経てば歴史の冷笑の対象となる。勝者も敗者も同様に、人間の愚かさや暴力の循環を示す記録として刻まれるのである。したがってこの名言は、権力や被害の立場に固執するのではなく、歴史の視点から人間の営みを謙虚に見つめ直す必要性を訴えているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「マフムード・ダルウィーシュ」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る