「野蛮に抗うために、詩ができることは人間の儚さへの執着を確認することだけである。それは、軍隊が行進する中で壁の上に生える一本の草のようなものである」

マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
マフムード・ダルウィーシュ(画像はイメージです)
  • 1941年3月13日~2008年8月9日(67歳没)
  • パレスチナ出身
  • 詩人、作家、政治活動家

英文

”Against barbarity, poetry can resist only by confirming its attachment to human fragility like a blade of grass growing on a wall while armies march by.”

日本語訳

「野蛮に抗うために、詩ができることは人間の儚さへの執着を確認することだけである。それは、軍隊が行進する中で壁の上に生える一本の草のようなものである」

解説

この言葉は、詩の力が暴力や権力に直接抗うものではなく、人間の脆さを肯定することによって抵抗するという思想を表している。軍隊や武力に比べれば詩は微弱で無力に見える。しかし、その儚さゆえに、詩は人間らしさの象徴として生き残り、野蛮への静かな抗議となるのである。

マフムード・ダルウィーシュは、戦争と占領という現実の中で詩を紡ぎ続けた。彼にとって詩は、武器を取ることではなく、人間の弱さと希望を言葉にすることで暴力に抗う行為であった。草が壁に根を張る比喩は、抑圧や荒廃の中でも人間の尊厳と想像力が生き続けることを象徴している。

現代においても、この名言は重要な意味を持つ。巨大な力や不正義に直面したとき、芸術や文学はそれを打ち倒す手段を持たない。しかし、人間の fragility(儚さ・脆さ)を守り抜くこと自体が抵抗であり、未来への希望をつなぐ行為となる。したがってこの言葉は、詩の存在意義を「小さな抵抗の持続」に見いだす深い洞察を示しているのである。

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