「人は一つの場所でしか生まれることができない。しかし亡命や監獄の中で、そして占領と抑圧によって悪夢へと変えられた故郷の中で、何度も死ぬことがある」

- 1941年3月13日~2008年8月9日(67歳没)
- パレスチナ出身
- 詩人、作家、政治活動家
英文
”A person can only be born in one place. However, he may die several times elsewhere: in the exiles and prisons, and in a homeland transformed by the occupation and oppression into a nightmare.”
日本語訳
「人は一つの場所でしか生まれることができない。しかし亡命や監獄の中で、そして占領と抑圧によって悪夢へと変えられた故郷の中で、何度も死ぬことがある」
解説
この言葉は、人間の生がただ一度の誕生と一度の死だけで規定されるものではなく、歴史や政治の状況によって繰り返し「死」を経験させられることを表現している。亡命による故郷喪失、監獄での自由剥奪、そして抑圧によって変質した故郷に生きることは、精神的な死を意味するのである。
マフムード・ダルウィーシュ自身、ナクバ以降の亡命生活と幾度もの拘束を経験し、詩においてその喪失感を繰り返し描いた。彼にとって故郷は生の始まりであると同時に、抑圧によって苦痛と絶望の象徴ともなった場所であった。この言葉は、その二重性を凝縮して示している。
現代においても、この名言は普遍的である。戦争や独裁政権下で生きる人々は、肉体的には生きていても精神的には幾度となく死を強いられる。亡命や投獄、故郷の荒廃は多くの民族や個人に共通する体験である。したがってこの言葉は、人間の尊厳を奪うものがいかに「生の繰り返される死」をもたらすかを鋭く告発し、同時にそれを詩として記録する意志を示しているのである。
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