「果たすべき義務から生まれない権利には、持つに値する価値はない」

• 1869年10月2日～1948年1月30日
• イギリス領インド帝国出身
• 弁護士、宗教家、社会活動家、政治指導者

英文

”Rights that do not flow from duty well performed are not worth having.”

日本語訳

「果たすべき義務から生まれない権利には、持つに値する価値はない」

解説

この名言は、権利とは自動的に与えられるものではなく、自らの義務を誠実に果たすことによって初めて正当化されるものだという、ガンディーの倫理観と社会観を明確に示している。彼は、義務と責任を果たさずに権利だけを主張することは、道徳的にも社会的にも空虚なものに過ぎないと考えていた。「well performed（きちんと果たされた）」という表現に、誠実さと自律に基づく義務の遂行が前提であるという強いメッセージが込められている。

ガンディーの思想においては、「義務を重んじる社会」が「権利を乱用する社会」よりも高い道徳的価値を持つとされた。個人の自由や権利を守るためには、まず社会の一員としての責任を果たすべきであり、そこにこそ真の権利の正当性が生まれるという信念である。この考えは、彼の非暴力運動や村落経済の再建にも反映されており、社会的義務と個人の内面的倫理が不可分であるという一貫した思想に根ざしている。

現代においてもこの名言は、権利の主張が自己中心的になりがちな風潮に対して、バランスの取れた倫理的視点を提供する。責任を果たす者にこそ、本当の意味での権利が付与されるべきであるというこの教えは、個人の成熟、社会の健全性、そして真の自由の条件を問う重要なメッセージである。

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