「道徳的権威は、それを握り続けようとする努力によって保たれるものではない。それは求めずとも自然に生まれ、努力せずとも保たれる」

• 1869年10月2日～1948年1月30日
• イギリス領インド帝国出身
• 弁護士、宗教家、社会活動家、政治指導者

英文

“Moral authority is never retained by any attempt to hold on to it. It comes without seeking and is retained without effort.”

日本語訳

「道徳的権威は、それを握り続けようとする努力によって保たれるものではない。それは求めずとも自然に生まれ、努力せずとも保たれる」

解説

この名言は、ガンディーが真の道徳的権威とは意図的に獲得したり維持しようとするものではなく、人格と行動の誠実さから自然に生まれるものであると信じていたことを示している。彼は、権威とは力や地位によってではなく、人々の信頼と尊敬を通じて静かに形成される倫理的な力であると考えていた。だからこそ、それを維持しようと躍起になること自体が、その純粋性を損なうと警告している。

この思想は、ガンディー自身の生き方に深く反映されていた。彼は称賛や地位を求めず、真理と非暴力に従って生きることだけに集中した結果、多くの人々から自然と信頼と敬意を集める存在となった。その姿勢は、道徳的権威とは演出や支配によって生まれるものではなく、誠実な生の積み重ねの中に宿るという倫理観を裏づけている。

現代においてもこの名言は、道徳や信頼を「演出」しようとする政治的・社会的風潮に対する鋭い批評となる。ガンディーのこの言葉は、真の道徳的力とは、内面の誠実さと行動の一貫性に裏打ちされたときにだけ自然に成立するという、揺るぎない倫理的真理を静かに、しかし力強く示している。

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