「かつて私は本気でキリスト教に改宗することを考えたことがある。虐げられたり打たれたりしても報復せず、むしろもう一方の頬を差し出すように教えたキリストの、あの優しく赦しに満ちた姿――私はそれを、完全な人間の美しい模範だと思った」

- 1869年10月2日~1948年1月30日
- イギリス領インド帝国出身
- 弁護士、宗教家、社会活動家、政治指導者
英文
”I did once seriously think of embracing the Christian faith. The gentle figure of Christ, so full of forgiveness that he taught his followers not to retaliate when abused or struck, but to turn the other cheek – I thought it was a beautiful example of the perfect man.”
日本語訳
「かつて私は本気でキリスト教に改宗することを考えたことがある。虐げられたり打たれたりしても報復せず、むしろもう一方の頬を差し出すように教えたキリストの、あの優しく赦しに満ちた姿――私はそれを、完全な人間の美しい模範だと思った」
解説
この名言は、ガンディーがキリスト教、特にイエス・キリストの人格と教えに深く感銘を受けていたことを明かす、極めて個人的かつ宗教的に重要な証言である。彼はヒンドゥー教徒でありながら、イエスの「もう一方の頬を差し出す」という教えに、非暴力と赦しの極致を見出した。それはまさに、ガンディーが生涯をかけて説いた倫理と重なるものであり、彼にとってイエスは「完全な人間」の理想像として映っていた。
しかし彼は最終的に改宗には至らず、他宗教に深く学びながらも、自らの宗教的アイデンティティの中で真理を追求する道を選んだ。それでもこの言葉からは、宗教の枠を超えて真理と倫理の本質を見極めようとする姿勢と、他者の信仰への敬意がにじみ出ている。これは、宗教的対話や寛容さの模範となる態度である。
現代においてもこの名言は、宗教間の対立が続く世界において、相違点ではなく共通の倫理的価値に目を向ける重要性を教えている。ガンディーのこの言葉は、非暴力・赦し・謙虚さといった普遍的徳目が、宗教を超えて人類を導く力であることを、静かに、しかし力強く示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?