「真の芸術家は驕らない。彼は不幸にも、芸術に限界がないことを知っている。自分が目標からどれほど遠いかを漠然と感じ、他人に称賛されることがあっても、自分のより優れた才能が遠くに輝く導きの太陽のようにしか見えず、その地点に達していないことに悲しみを感じる」

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの名言
  • 1770年12月16日~1827年3月26日
  • ドイツ(神聖ローマ帝国)出身
  • 作曲家、ピアニスト
  • 代表作には「第9交響曲」「月光ソナタ」「運命交響曲」などがあり、古典派からロマン派への橋渡しを果たし、音楽史に多大な影響を与えた

英文

”The true artist is not proud: he unfortunately sees that art has no limits; he feels darkly how far he is from the goal, and though he may be admired by others, he is sad not to have reached that point to which his better genius only appears as a distant, guiding sun.”

日本語訳

「真の芸術家は驕らない。彼は不幸にも、芸術に限界がないことを知っている。自分が目標からどれほど遠いかを漠然と感じ、他人に称賛されることがあっても、自分のより優れた才能が遠くに輝く導きの太陽のようにしか見えず、その地点に達していないことに悲しみを感じる」

解説

この言葉は、ベートーヴェンが真の芸術家の在り方について語ったものであり、彼が芸術を追求する中で感じていた永遠の探求到達しがたい理想を反映している。真の芸術家は、自らの限界や不足を痛感しているため、他人から称賛されてもそれに誇りを持つことができず、むしろその称賛は彼にとって悲しみや焦りの感情を呼び起こす。ベートーヴェンにとって、芸術は終わりのない探求であり、彼の「より優れた才能」はまだ遠くにある未到達の理想であった。

この言葉は、芸術家の謙虚さと自己認識についても示唆している。真の芸術家は、自分の才能を過信することなく、むしろ自らの未熟さや未達の部分を強く感じるため、周囲の称賛が内面の満足感にはつながらない。自分が理想とする「より優れた自分」を追い求め、その過程で感じる葛藤や悲しみが、彼の創作意欲の源泉となっていた。この言葉は、自己の限界を知りながらも理想を追い続ける芸術家の孤独と奮闘を伝えている。

また、ベートーヴェンは芸術における果てなき成長の必要性を強調している。芸術には終わりがないため、目標に近づくほど、その先に新たな理想が見えてくる。彼にとって、芸術の本質とは「到達すること」ではなく、絶えず「理想に向かって歩み続けること」であった。この言葉は、芸術のみならず、あらゆる追求において謙虚さを保ちながらも成長を諦めない姿勢の大切さを私たちに教えてくれる。

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