「自らの激しさを抑えられぬことこそが、若さの欠点である」

- 紀元前1年頃~紀元65年
- ローマ帝国出身
- 哲学者、政治家、劇作家、倫理思想家
- ストア派哲学の代表的人物として知られ、道徳と内面の自由を重視する思想を展開。皇帝ネロの教育係を務めた後、政治から退き著述に専念し、多くの書簡や悲劇作品を通じて後世の倫理思想やキリスト教思想にも影響を与えた。
英文
“It is the failing of youth not to be able to restrain its own violence.”
日本語訳
「自らの激しさを抑えられぬことこそが、若さの欠点である」
解説
この言葉は、若さに内在する情熱や衝動が、しばしば理性の制御を超えてしまうという人間の成長過程の一断面を描いたものである。セネカはストア派の立場から、感情や衝動に流されず、理性によって自らを律することが徳であると教えた。若者は多くの可能性と活力を持つが、それを制御する力が未成熟であるため、暴走や過ちに陥りやすい。この名言は、若さの持つ輝きと同時に、その危うさを見抜いた哲学的警告である。
セネカは、人間の発達段階に応じた徳の形成を重視していた。彼にとって、未熟な若さは欠点ではなく、鍛錬によって克服すべき過程である。したがって、この言葉は非難ではなく、若者に対する導きと自制の重要性を示す助言でもある。激情や怒りに屈することなく、理性の声に耳を傾けることでこそ、人間は成長し、真に自由な存在となるという教訓がここにある。
現代においても、若年期は自己主張と反発、衝動的な行動が表れやすい時期であるが、それは決して否定されるべきではない。セネカのこの名言は、その内なる力を理性によって導くことで、より強く成熟した人格が育まれると教えてくれる。制御されぬ情熱は危険であるが、制御された情熱は偉大な力となる——それがこの言葉の根底にある哲学である。
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