「法律は特定の明確で狭い範囲の行為のみを非難し、罰するが、そうすることによって、その範囲外の類似の行為をある意味で正当化している」
![レフ・トルストイ](https://note.lv73.net/wp-content/uploads/2024/11/LNTolstoy-512.webp)
- 1828年9月9日~1910年11月20日
- ロシア出身
- 作家、哲学者
- 『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』、『イワンのばか』などの大作を執筆し、文学のみならず、政治・社会にも大きな影響を与えた
英文
“The law condemns and punishes only actions within certain definite and narrow limits; it thereby justifies, in a way, all similar actions that lie outside those limits.”
日本語訳
「法律は特定の明確で狭い範囲の行為のみを非難し、罰するが、そうすることによって、その範囲外の類似の行為をある意味で正当化している」
解説
トルストイのこの名言は、法律の限界とその副作用について批判的な視点を示している。 法律は人々の行動を規制し、特定の違法行為を罰することで社会の秩序を保っているが、それが逆に、法律の枠外にある行為を黙認し、暗に正当化してしまうという矛盾を抱えている。この言葉は、法律が必ずしも道徳的な基準に基づいているわけではなく、むしろ形式的な基準で線引きを行っていることへの警鐘でもある。19世紀のロシアでは、特権階級による不正や腐敗が横行していたため、法律が必ずしも正義と一致しない現実があった。
現代においても、法律の範囲内で行われる道徳的に疑わしい行為がしばしば問題となる。 法律が違反行為を防止することは重要だが、法の枠外にある行為が社会的に見過ごされるケースも多い。たとえば、企業が法的に問題のない範囲で労働者や環境に対する搾取的な行為を行う場合、法がその行為を正当化しているかのような印象が与えられることがある。トルストイの言葉は、法律だけに頼るのではなく、自らが倫理的な判断を持つ重要性を強調している。
さらに、この名言は、法律の範囲を超えた倫理的な視点を持つことの大切さを教えている。 法律が示す道徳的な基準を絶対視するのではなく、私たちは法律の枠を越えて、社会や他者への影響を考えた判断が求められる。トルストイの言葉は、形式的な法律のみに依存せず、社会全体の善を目指した行動が重要であることを示唆している。
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