「国家が大きくなるほど、その愛国心は誤りと残酷さを増し、その権力の基盤となる苦しみの総量も増していく」
- 1828年9月9日~1910年11月20日
- ロシア出身
- 作家、哲学者
- 『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』、『イワンのばか』などの大作を執筆し、文学のみならず、政治・社会にも大きな影響を与えた
英文
“The greater the state, the more wrong and cruel its patriotism, and the greater is the sum of suffering upon which its power is founded.”
日本語訳
「国家が大きくなるほど、その愛国心は誤りと残酷さを増し、その権力の基盤となる苦しみの総量も増していく」
解説
トルストイのこの名言は、大きな国家が持つ愛国心が誤った方向へ向かいやすく、また、その権力が多くの人々の苦しみの上に築かれている可能性があるという厳しい批判を表している。 トルストイは、国家が強大化するほど、国民の愛国心が過激になり、国家の名のもとに行われる支配や戦争が人々にさらなる苦しみをもたらすと考えていた。愛国心は本来、同胞や共同体への愛を示すものであるが、国家が肥大化すると、それが支配や暴力の正当化に使われることが多くなると彼は見ていた。この言葉は、国家権力が拡大することに対して懐疑的な視点を示している。
現代においても、愛国心が過剰に強調されると、他国や異なる意見を持つ人々に対する排除や対立が生まれやすくなるという問題が存在する。 また、国家が巨大であるほど、その維持や拡大には多くの犠牲が必要とされ、一般市民の生活や権利が抑圧されるリスクが高まる。トルストイの言葉は、国家の成長が人々の幸福に結びつくとは限らないことを示しており、愛国心が不必要な暴力や苦痛の原因となりうることを警告している。彼の視点は、国家の利益と個人の幸福のバランスを保つために、批判的に愛国心や国家権力を見つめる必要性を教えている。
さらに、この名言は、国家の権力に対して市民が持つべき責任感と批判的な視点の重要性を示している。 国家が過剰に力を持つことで生まれる不正や抑圧に対抗するためには、個人が冷静な判断と独立した視点を持ち、権力の行使を監視する姿勢が求められる。トルストイの言葉は、国家の成長と愛国心がもたらす負の側面を見つめ、平和と自由を守るための健全な批判精神の大切さを教えている。
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