「国に争いが満ちるとき、愛国者が栄える」

老子の名言・格言・警句(画像はイメージです)
老子の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前571年?~紀元前470年?
  • 中国出身
  • 哲学者

英文

“When a nation is filled with strife, then do patriots flourish.”

日本語訳

「国に争いが満ちるとき、愛国者が栄える」

解説

この言葉は、老子が説く逆説的な政治観と権力への懐疑を鋭く示している。平和で調和のとれた国には、声高に「愛国」を叫ぶ必要はない。だが、国家が混乱や分裂に陥るとき、人々は忠誠や愛国心という言葉に頼ろうとし、それを掲げる者たちが台頭する。老子にとって、こうした愛国の高揚は、むしろ国の病の兆候であり、本質的には「道」から外れている状態である。

老子の政治思想では、「道(タオ)」に従った国家は、静かで、争いなく、人々が自然に暮らしている状態が理想とされる。過剰な忠誠心や自己犠牲の美徳が求められる社会は、すでに自然な秩序を失っており、制度やスローガンによって統制されざるを得ない不健全な状態である。老子は、そうした状況に警戒を示し、静かな調和と自然な統治こそが健全な国家の姿であると説いた。

現代においても、この言葉は強い示唆を持つ。戦争、社会的対立、権力の集中などが進むとき、「愛国」や「忠誠」が前面に押し出され、それに異を唱える者は非難されやすくなる。老子のこの言葉は、愛国の叫びが高まるときこそ、その国の根本にある不調和と向き合うべきであるという冷静な洞察を与えている。

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