「人が勝利を喜び、人の殺戮を楽しむことが、どうしてできようか」

- 紀元前571年?~紀元前470年?
- 中国出身
- 哲学者
英文
“How could man rejoice in victory and delight in the slaughter of men?”
日本語訳
「人が勝利を喜び、人の殺戮を楽しむことが、どうしてできようか」
解説
この言葉は、老子の戦いや暴力に対する深い嫌悪と倫理的な問いかけを表している。老子にとって、戦いに勝つことすら本来は悲しむべき結果であり、人の命が奪われることを喜ぶなどという姿勢は、道(タオ)に著しく背く行為である。たとえ戦いが避けがたい状況であっても、それを誇りや歓喜の対象とすべきではない。
この思想は、「武器は不吉の器なり」とする老子の戦争観とも一致しており、力による支配や征服を最も下劣な手段と見なす。老子の政治哲学は、あくまでも柔と静けさ、譲り合いによって調和を図ることを目指しており、人を殺すことで得た成果は、決して真の勝利ではないと考えた。
現代においても、この言葉は強く響く。戦争や暴力行為が英雄的に描かれる場面に対し、老子の問いは人間の倫理と精神の成熟を問う鋭い批判である。老子のこの言葉は、命に対する深い敬意と、勝利という名のもとに隠された破壊への警鐘を、時代を超えて私たちに投げかけている。
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