「一人の一時間が他人の一時間と等しいとは言うべきではなく、一人の人間が一時間の間にどれだけ価値があるかは他の人間と同じであると言うべきである。時間こそが全てであり、人間は何でもない。せいぜい時間の亡骸にすぎない」

カール・マルクス
カール・マルクスの名言
  • 1818年5月5日~1883年3月14日
  • プロイセン王国(ドイツ)出身
  • 哲学者、経済学者、政治思想家
  • 資本論を著し、社会主義・共産主義思想の基礎を築いた

英文

“We should not say that one man’s hour is worth another man’s hour, but rather that one man during an hour is worth just as much as another man during an hour. Time is everything, man is nothing: he is at the most time’s carcass.”

日本語訳

「一人の一時間が他人の一時間と等しいとは言うべきではなく、一人の人間が一時間の間にどれだけ価値があるかは他の人間と同じであると言うべきである。時間こそが全てであり、人間は何でもない。せいぜい時間の亡骸にすぎない」

解説

この言葉は、カール・マルクスが資本主義における労働価値と時間の関係について述べたものである。彼は、労働者の価値を時間で測る資本主義の仕組みを批判し、時間が資本主義において絶対的な価値を持つ一方で、個々の人間が軽視されることを指摘している。この「時間の亡骸」という表現は、労働者が時間に支配される存在となり、自身の価値を失っている状況を象徴的に表現している。

現代の視点からも、労働者が労働時間に基づいて評価されるシステムは依然として一般的であり、その結果として人間性が軽視されることが懸念されている。成果よりも労働時間に焦点を当てる働き方や、時間給で労働力が計られることが多い中で、マルクスの言葉は人間の存在価値と時間の関係についての問いかけを含んでいる。労働が単なる「時間の提供」として評価されることにより、労働者の個性や能力が見過ごされる構造が浮き彫りになる。

具体例として、長時間労働を強いる企業文化や、成果よりも労働時間を重視する評価システムが挙げられる。これらは、労働者を単なる「時間の一部」として扱うものであり、労働者が生きた人間として尊重されていないと感じさせる原因となり得る。マルクスの視点は、労働者の価値を時間や成果だけでなく、人間としての尊厳に基づいて評価する必要性を示している。

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