「作家は歴史の動きを代弁することはできるが、それを創り出すことはもちろんできない」
- 1818年5月5日~1883年3月14日
- プロイセン王国(ドイツ)出身
- 哲学者、経済学者、政治思想家
- 資本論を著し、社会主義・共産主義思想の基礎を築いた
英文
“The writer may very well serve a movement of history as its mouthpiece, but he cannot of course create it.”
日本語訳
「作家は歴史の動きを代弁することはできるが、それを創り出すことはもちろんできない」
解説
この言葉は、カール・マルクスが作家の役割と歴史の動きについて述べたものである。彼は、作家が歴史的な変革や社会運動を表現し伝える役割を果たすことはできるが、その変革を直接生み出す力は持たないと指摘している。作家や芸術家は、社会的な動きを反映し、その声を届ける役割を果たす一方で、その動き自体を構築するのは集団的な行動や社会的な力であると考えた。
この考えは、現代においても芸術や文学が持つ影響力の限界を示唆するものである。作家やアーティストが社会的なメッセージを表現することにより、歴史的な変化に貢献することは可能だが、そのメッセージが実際に社会を動かすためには多くの人々の行動や運動が必要である。マルクスの視点は、芸術が単独で社会変革をもたらす力を持つのではなく、人々の行動に触発されることで初めて影響力を発揮するとする現実を反映している。
具体例として、社会運動や革命が盛り上がる際に、作家がその理想や希望を作品に描くことがある。例えば、文学や音楽が平和や人権を訴えるメッセージを伝える一方で、そのメッセージが現実に影響を与えるためには、社会全体の参加と努力が不可欠である。このように、作家は歴史の流れを表現し記録する「代弁者」ではあるものの、その流れを直接的に作り出す存在ではないというマルクスの指摘は、現代にも通じる真実を含んでいる。
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