「精神的労働の産物である科学は、その価値に対して常に低く評価される。なぜなら、それを再生産するために必要な労働時間は、元の生産に要した労働時間とは全く関係がないからである」
- 1818年5月5日~1883年3月14日
- プロイセン王国(ドイツ)出身
- 哲学者、経済学者、政治思想家
- 資本論を著し、社会主義・共産主義思想の基礎を築いた
英文
“The product of mental labor – science – always stands far below its value, because the labor-time necessary to reproduce it has no relation at all to the labor-time required for its original production.”
日本語訳
「精神的労働の産物である科学は、その価値に対して常に低く評価される。なぜなら、それを再生産するために必要な労働時間は、元の生産に要した労働時間とは全く関係がないからである」
解説
この言葉は、カール・マルクスが知的労働とその評価について述べたものである。彼は、科学や知識のような精神的労働の成果が、本来の価値に対して低く評価されていると指摘している。これは、再生産(模倣や伝達)にかかる時間が、最初の生産にかかった膨大な労働時間と釣り合わないためである。
現代においても、知的労働の成果物、特に科学的研究や技術発明が低評価されることは少なくない。例えば、研究者が新しい技術や発見を生み出すには多大な時間と努力が必要だが、その後の再生産や普及には相対的に少ない労力で済む。そのため、科学的成果は簡単に普及する一方で、生み出す過程の価値が十分に評価されない現状がある。
具体例として、インターネットの発展やオープンソース技術が挙げられる。これらは膨大な知的労働の積み重ねにより生まれたが、今日では無料で再利用されることも多い。マルクスの視点に立てば、こうした知的労働の価値が十分に認識されず、労働者や研究者の貢献が過小評価されている現代の構造を批判的に見ることができる。
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