「自然科学はやがて人間科学を取り込み、人間科学も自然科学を取り込むだろう。そして一つの科学が生まれる」
- 1818年5月5日~1883年3月14日
- プロイセン王国(ドイツ)出身
- 哲学者、経済学者、政治思想家
- 資本論を著し、社会主義・共産主義思想の基礎を築いた
英文
“Natural science will in time incorporate into itself the science of man, just as the science of man will incorporate into itself natural science: there will be one science.”
日本語訳
「自然科学はやがて人間科学を取り込み、人間科学も自然科学を取り込むだろう。そして一つの科学が生まれる」
解説
この言葉は、カール・マルクスが自然科学と人間科学の統合について展望しているものである。マルクスは、自然界を理解するための科学と人間や社会を理解するための科学が最終的に一つに融合し、包括的な知識体系が生まれると考えた。この融合は、自然と人間が分離されていないことを反映し、科学が物質世界と人間社会の両方を包括的に捉えるようになることを示唆している。
現代においても、自然科学と人間科学の境界は曖昧になりつつあり、生物学、心理学、社会科学などが統合的に活用される場面が増えている。例えば、環境問題や気候変動の影響は、人間の行動や社会構造と密接に関係しているため、解決には両方の科学の視点が不可欠である。マルクスのこの見解は、学際的なアプローチや総合的な理解の重要性を早くから示したものといえる。
具体例として、エコロジーと社会学を組み合わせた「環境社会学」や、経済学と心理学を組み合わせた「行動経済学」などが挙げられる。これらの学問は、人間の行動や社会の仕組みを自然環境や物質的な条件と関連づけて理解しようとするものである。マルクスが予見したように、こうした学問の統合は、現代の複雑な問題に対するより深い理解と効果的な解決策を提供する道を開いている。
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