「商品は一見すると極めて明白で取るに足らないもののように見える。しかし、その分析を進めると、それが非常に奇妙で、形而上学的な微妙さと神学的な精妙さに満ちたものであることが明らかになる」
- 1818年5月5日~1883年3月14日
- プロイセン王国(ドイツ)出身
- 哲学者、経済学者、政治思想家
- 資本論を著し、社会主義・共産主義思想の基礎を築いた
英文
“A commodity appears at first sight an extremely obvious, trivial thing. But its analysis brings out that it is a very strange thing, abounding in metaphysical subtleties and theological niceties.”
日本語訳
「商品は一見すると極めて明白で取るに足らないもののように見える。しかし、その分析を進めると、それが非常に奇妙で、形而上学的な微妙さと神学的な精妙さに満ちたものであることが明らかになる」
解説
この言葉は、カール・マルクスが商品の本質とその複雑さについて述べたものである。一見単純でありふれた存在に見える商品も、その内面を深く分析することで、経済的・哲学的に極めて複雑な概念であることが明らかになるとマルクスは指摘する。商品は単に交換価値としての物質的存在にとどまらず、社会的な労働や価値体系の象徴であり、その本質は形而上学的な解釈を要するものであると考えられる。
商品には表面的な価値と本質的な価値があり、経済活動において商品が担う役割を理解するためには、その内部に秘められた構造を明らかにすることが必要である。マルクスにとって商品は、資本主義の価値体系を具現化したものであり、その背後には労働者の労働が不可視化された形で埋め込まれている。こうした商品の特異性は、資本主義の社会構造が生み出すものであり、単なる物質的な存在を超えた意義を持つ。
具体例として、日常的に消費される衣服や食品も、ただの物体ではなく、生産過程や労働力の象徴としての意味を持つ。商品が持つ価値は、社会的な関係の中で形成されているため、単純な物理的実態を超えた複雑な意味が内包されている。マルクスのこの言葉は、商品の本質を理解するためには表面的な価値だけでなく、その裏にある労働と社会構造を洞察する必要があることを示している。
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