「人員を集めるために、私は全米を回って、原子力事業のさまざまな分野や、たとえばレーダーや水中音響の分野で働いていた人々と話をし、仕事の内容やこれから赴く場所について説明し、彼らの熱意を引き出した」

- 1904年4月22日~1967年2月18日
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者、科学行政官、教育者
- マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。
英文
“To recruit staff, I traveled all over the country talking with people who had been working on one or another aspect of the atomic-energy enterprise and people in radar work, for example, and underwater sound, telling them about the job, the place that we are going to, and enlisting their enthusiasm.”
日本語訳
「人員を集めるために、私は全米を回って、原子力事業のさまざまな分野や、たとえばレーダーや水中音響の分野で働いていた人々と話をし、仕事の内容やこれから赴く場所について説明し、彼らの熱意を引き出した」
解説
この言葉は、ロバート・オッペンハイマーがマンハッタン計画のリーダーとして果たした組織的・人的役割の重要性を物語っている。彼は単なる理論物理学者ではなく、極めて広範な技術領域の専門家たちを一つの目標のもとに結集させる能力を持つ、優れた指導者でもあった。この発言は、科学と戦争という非常に異なる要素を結びつける中で、人間の熱意と知性をいかに動員するかという課題に取り組んだ姿勢を表している。
特に注目すべきは、彼が「レーダー」「水中音響」など、核物理とは直接関係のない領域からも人材を引き寄せたという点である。これは、異なる専門知識が複雑な技術プロジェクトにおいていかに不可欠であるかを理解していたことの証である。そしてそれ以上に重要なのは、オッペンハイマーが単に命令ではなく、「場所」「仕事の意義」「熱意」という人間的な要素を重視しながらリクルートを行っていたということである。
この言葉は現代のプロジェクト運営にも大きな示唆を与える。巨大な課題に取り組むには、分野横断的な知識の融合と、人間の動機づけが不可欠である。オッペンハイマーのこの回想は、科学が社会に作用する際に必要とされる「知のリーダーシップ」とは何かを如実に語るものである。
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