「通りで遊んでいる子どもたちの中には、私の物理学上の難問のいくつかを解ける者がいるかもしれない。なぜなら、彼らは私がとうの昔に失った感覚のモードを持っているからだ」

ロバート・オッペンハイマーの名言
ロバート・オッペンハイマーの名言
  • 1904年4月22日~1967年2月18日
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者、科学行政官、教育者
  • マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。

英文

“There are children playing in the streets who could solve some of my top problems in physics, because they have modes of sensory perception that I lost long ago.”

日本語訳

「通りで遊んでいる子どもたちの中には、私の物理学上の難問のいくつかを解ける者がいるかもしれない。なぜなら、彼らは私がとうの昔に失った感覚のモードを持っているからだ」

解説

この言葉は、直観的で柔軟な思考の価値と、成長や専門性の中で失われる創造力への惜別を表している。オッペンハイマーは、長年にわたる物理学の探究を通じて得た知識と訓練が、逆に発想の自由や感覚の鋭さを失わせる側面もあることを鋭く見抜いていた。子どもの思考には、常識や既存の理論にとらわれない独自の視点や感受性があると語っているのである。

ここで言う「感覚のモード」とは、知識や理論によって規定される前の、世界をありのままに捉える能力である。科学者はしばしば理論と数式を通じて世界を理解しようとするが、子どもは経験や直感、遊び心を通じて現象に接する。それゆえ、高度な問題に対しても本質的な突破口を見出す可能性がある。この言葉には、知の限界と創造性の源泉をめぐる深い洞察が込められている。

現代社会においても、教育や専門化が進む一方で、子どもの自由な発想や異分野からの視点が革新の鍵になることは多い。オッペンハイマーのこの言葉は、知識を深めながらも、初心と感受性を失わぬことの重要性を我々に思い出させる、科学と人間性を結びつける名言である。

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