「私は共産主義の教義や理論を決して受け入れたことはなかった」

ロバート・オッペンハイマーの名言
ロバート・オッペンハイマーの名言
  • 1904年4月22日~1967年2月18日
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者、科学行政官、教育者
  • マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。

英文

“I never accepted Communist dogma or theory.”

日本語訳

「私は共産主義の教義や理論を決して受け入れたことはなかった」

解説

この言葉は、ロバート・オッペンハイマーが自身と共産主義との関係について語った明確な立場表明である。彼は1930年代に多くの共産主義者や左派思想家と交友を持ち、社会正義や反ファシズムの観点から共産党に共感を示す場面もあったが、ここではあくまでイデオロギーとしての共産主義には同調しなかったという態度を明言している。

「教義や理論を受け入れなかった」という表現には、思想の硬直性やドグマに対する強い警戒心が込められている。科学者としてのオッペンハイマーは、あらゆる立場において自由な思考と批判的精神を重視していた。共産主義の理論体系が社会に対して閉じた体系を形成していると感じたことも、彼がそれに距離を置いた理由の一つであろう。

この言葉は、冷戦期における赤狩り(マッカーシズム)と忠誠審査の文脈でも重要である。彼は共産主義者との関係を理由に政府からの信頼を失い、機密へのアクセス権を剥奪されたが、この発言は彼自身の信念においては、決して党派的忠誠ではなく、理性的判断と個人の倫理があったことを示す弁明でもある。思想に関与しつつも盲従しない知識人の姿勢を体現する発言である。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る