「ヴェーダに触れることができるということは、この世紀がこれまでのあらゆる世紀に対して誇りうる最大の特権である」

- 1904年4月22日~1967年2月18日
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者、科学行政官、教育者
- マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。
英文
“Access to the Vedas is the greatest privilege this century may claim over all previous centuries.”
日本語訳
「ヴェーダに触れることができるということは、この世紀がこれまでのあらゆる世紀に対して誇りうる最大の特権である」
解説
この言葉は、古代インドの聖典「ヴェーダ」に対するロバート・オッペンハイマーの深い敬意と精神的共鳴を示している。ヴェーダはサンスクリット語で書かれた宗教・哲学・宇宙観の根幹を成す文献群であり、西洋科学とは異なる形で存在、真理、秩序の意味を探究する知的遺産である。オッペンハイマーはこの古代思想に深く惹かれ、量子力学や宇宙論と共鳴する要素を見出したとされている。
「この世紀の最大の特権」と述べることで、彼は20世紀の科学技術の進歩よりも、東洋の精神世界に触れる知的自由こそが真に価値ある恩恵であると位置づけている。ここには、科学と哲学、東洋と西洋、理性と直観の融合を志す彼の精神構造が反映されている。科学の探究者でありながら、存在の本質を問う哲学的思索からも目を背けなかった人物としての一面が表れている。
この言葉は現代にも深い意味を持つ。テクノロジーと情報に支配されがちな時代において、人間の根源的な問いに立ち返る古典的思想の価値が再び見直されつつある。オッペンハイマーのこの言葉は、科学の限界を知り、精神の広がりを求める態度こそが、人間の知にとって不可欠であることを静かに語りかけているのである。
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