「すべての人が同じ賃金を受け取り、同じ量の肉やパンを得て、同じ服を着て、同じ量の物資を配給されるような社会主義――そのような社会主義はマルクス主義の中には存在しない。マルクス主義が語るのは、階級が最終的に廃絶され、労働が生活の手段から人間の第一の欲求、すなわち社会のための自発的労働へと変化するまでのあいだ、人々は労働の成果に応じて報酬を受けるということである」

- 1878年12月18日~1953年3月5日
- グルジア(ジョージア)出身
- ソ連共産党書記長(最高指導者)、ソ連邦大元帥
英文
“The kind of socialism under which everybody would get the same pay, an equal quantity of meat and an equal quantity of bread, would wear the same clothes and receive the same goods in the same quantities—such a socialism is unknown to Marxism. All that Marxism says is that until classes have been finally abolished and until labor has been transformed from a means of subsistence into the prime want of man, into voluntary labor for society, people will be paid for their labor according to the work performed.”
日本語訳
「すべての人が同じ賃金を受け取り、同じ量の肉やパンを得て、同じ服を着て、同じ量の物資を配給されるような社会主義――そのような社会主義はマルクス主義の中には存在しない。マルクス主義が語るのは、階級が最終的に廃絶され、労働が生活の手段から人間の第一の欲求、すなわち社会のための自発的労働へと変化するまでのあいだ、人々は労働の成果に応じて報酬を受けるということである」
解説
この発言は、マルクス主義における「平等」の概念が単なる数量的一律性ではないことを明確に示している。スターリンは、すべてを平等に配分する「機械的平等主義」を否定し、代わりに労働の成果に応じた分配原則(各人の能力に応じて働き、働いた分だけ受け取る)を強調している。これは、マルクスが『ゴータ綱領批判』で述べた「労働に応じて受け取る」という社会主義段階の原則に基づいている。
この立場は、社会主義が共産主義に至るまでの過渡期においては、完全な平等ではなく、公平な配分が目指されるべきであるという認識に支えられている。スターリンはここで、マルクス主義を「理想的均質社会」の空想と混同するな」と警告しているとも言える。労働が強制から自己実現へと変わる最終段階(共産主義)に至ってはじめて、分配の原理も「各人の能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」へと移行するのである。
現代でもこの言葉は、平等とは何か、報酬とは何に基づくべきかという問いに有効な視座を提供する。形式的な平等と実質的な公正との違い、そして成果主義と社会的正義の調和という問題は、あらゆる社会制度において今日なお議論され続けているテーマである。
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