「チャーチル氏から返事を期待してはならない。チャーチル氏は、『全体主義』『圧政』『警察国家』などと叫ぶことで、自分がいかに滑稽な立場に置かれているかを理解していない」

- 1878年12月18日~1953年3月5日
- グルジア(ジョージア)出身
- ソ連共産党書記長(最高指導者)、ソ連邦大元帥
英文
“Don’t expect a reply from Mr. Churchill. Mr. Churchill does not understand in what a ridiculous position he puts himself by his outcry about ‘totalitarianism, tyranny and police rule.’”
日本語訳
「チャーチル氏から返事を期待してはならない。チャーチル氏は、『全体主義』『圧政』『警察国家』などと叫ぶことで、自分がいかに滑稽な立場に置かれているかを理解していない」
解説
この言葉は、西側の指導者、とりわけウィンストン・チャーチルに対する痛烈な皮肉と批判である。スターリンはここで、チャーチルの反ソ的な発言――特にスターリン体制を「全体主義」や「圧政」と非難する姿勢――を、自己矛盾かつ偽善的であると攻撃している。その背後には、第二次世界大戦後の冷戦構造の芽生えと、東西両陣営の正当性をめぐる言論戦がある。
1946年のチャーチルによる「鉄のカーテン」演説の直後、このような言葉はソ連側の対抗声明として用いられたと考えられる。スターリンは、イギリスのような帝国主義国家こそが植民地支配や階級抑圧を体現していると見なしており、西側がソ連を「全体主義」として批判すること自体が歴史的偽善であるという立場に立っていた。
この言葉は、国際政治における道徳的正統性の奪い合いを象徴している。現代においても、国家間の対立においては相手の人権状況や統治体制を批判するレトリックが多用されるが、その背景にはしばしば自己の権益や支配の正当化がある。スターリンのこの発言は、そのような政治的道徳の相対性をあらわにする言辞として読みうる。
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