「諸君の目の前に立ち現れるのは、ゴーゴリの物語に登場する、錯乱のあまり自らをスペイン王だと思い込んだ人物である。すべての誇大妄想者の運命とはこのようなものだ」

ヨシフ・スターリンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヨシフ・スターリンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1878年12月18日~1953年3月5日
  • グルジア(ジョージア)出身
  • ソ連共産党書記長(最高指導者)、ソ連邦大元帥

英文

“Before your eyes rises the hero of Gogol’s story who, in a fit of aberration, imagined that he was the King of Spain. Such is the fate of all megalomaniacs.”

日本語訳

「諸君の目の前に立ち現れるのは、ゴーゴリの物語に登場する、錯乱のあまり自らをスペイン王だと思い込んだ人物である。すべての誇大妄想者の運命とはこのようなものだ」

解説

この発言は、誇大妄想に陥った政治的指導者や敵対者に対する痛烈な皮肉として発せられたものである。スターリンはここで、ロシアの作家ニコライ・ゴーゴリの短編『狂人日記』に登場する主人公ポプリシチンを引き合いに出し、現実と妄想の区別がつかなくなった人物像と政治的野心家を重ねている。この人物は最終的に自分を「スペイン王フェルディナンド8世」だと信じ込み、精神的崩壊を遂げる。

この文学的引用は、敵や反対派を単なる愚か者ではなく「狂人」として扱うことで、その正当性を完全に否定しようとするレトリックである。特に冷戦期や党内闘争において、相手を精神的逸脱者として描くことは政治的排除の有効な手段であった。スターリンはこの言葉を用いて、妄想に支配された敵を歴史の中で笑いものにしようとしている

現代においてもこの発言は、権力者や思想家が自らの正当性に酔いしれ、現実を見失ったときの末路を警告するものとして読むことができる。文学を用いた政治批判の手法としても優れており、風刺と弁論の技法が融合したスターリンの修辞的力量をうかがわせる一言である。

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