「今の世の中のあり方にはうんざりしている。私たちは市場の論理を受け入れなければ生きられない時代にいる。現代の政治は短期的な現実主義ばかりだ。宗教も哲学も捨て去ってしまった……今残っているのは、市場の言いなりに動く自動化された生き方だけだ」

ホセ・ムヒカの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1935年5月20日~2025年5月13日
  • ウルグアイ出身
  • 第40代ウルグアイ大統領、政治家、元ゲリラ闘士

英文

“I’m just sick of the way things are. We’re in an age in which we can’t live without accepting the logic of the market. Contemporary politics is all about short-term pragmatism. We have abandoned religion and philosophy… What we have left is the automatisation of doing what the market tells us.”

日本語訳

「今の世の中のあり方にはうんざりしている。私たちは市場の論理を受け入れなければ生きられない時代にいる。現代の政治は短期的な現実主義ばかりだ。宗教も哲学も捨て去ってしまった……今残っているのは、市場の言いなりに動く自動化された生き方だけだ」

解説

この言葉は、ホセ・ムヒカの現代文明に対する深い幻滅と警鐘を表している。彼は、かつて人間の行動を導いていた宗教的信念や哲学的思索が衰退し、その代わりに市場の原理が絶対視される時代になったと嘆いている。ここで言う「自動化された生き方」とは、市場に従属し、反省も目的もなく利潤と効率にのみ駆動される人間の姿であり、それはムヒカにとって本来の人間性の喪失にほかならない。

彼は政治家でありながら、政治が長期的な理想や価値から乖離し、目先の成果や人気にばかりとらわれる現実主義に堕していると批判する。そしてその背景にあるのが、すべてを市場価値で測る現代の価値観であり、人々が自ら考え、選び、感じることをやめてしまった機械的な生であるという危機意識が、この言葉には込められている。

この名言は、資本主義の過剰な支配が倫理・精神・文化といった人間に本来備わるべき側面を侵食していることへの深い憂慮である。たとえば、教育が市場ニーズに合わせた「投資対象」とされ、政治が支持率という「数値」に左右される今日の現実は、まさにムヒカが問題視する状況である。自由とは選択肢を持つことではなく、自らの価値で選ぶ力を持つこと――この思想を取り戻すための強いメッセージがここにある。

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