「キリスト教が国の宗教であるどの国においても、聖職者が人々に愛されていたとは、私は見たことも聞いたことも読んだこともない。彼らを人気者にすることができるのは、ある程度の迫害だけである」

ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
  • 1667年11月30日~1745年10月19日(77歳没)
  • アイルランド出身
  • 作家、風刺家、聖職者

英文

”I never saw, heard, nor read, that the clergy were beloved in any nation where Christianity was the religion of the country. Nothing can render them popular, but some degree of persecution.”

日本語訳

「キリスト教が国の宗教であるどの国においても、聖職者が人々に愛されていたとは、私は見たことも聞いたことも読んだこともない。彼らを人気者にすることができるのは、ある程度の迫害だけである」

解説

この言葉は、スウィフトの聖職者と民衆の関係に対する辛辣な批評を示している。彼は聖職者が制度化された権力を持つとき、必ずしも尊敬や愛情を集めるわけではなく、むしろ距離や反感を生むと指摘している。そして逆説的に、聖職者が迫害を受けるときこそ、民衆は彼らを擁護し、同情から人気を得ることになると述べている。

18世紀イギリスでは、国教会と非国教徒の対立が政治や社会を揺るがしていた。スウィフト自身も聖職者でありながら、教会制度の形骸化や腐敗に批判的であった。そのため、この言葉は宗教権威の脆弱さと民衆の心理を風刺的に突いたものといえる。

現代においても、この指摘は応用可能である。組織や権力を持つ者は、権威が安定している時には必ずしも支持を得られないが、逆境に直面したときに初めて人々の共感を呼ぶことがある。スウィフトの言葉は、権威と民意の複雑な関係を普遍的に示しており、宗教のみならず政治や社会全般に通じる洞察である。

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