「僕たちの社会は、狂った目的のために狂った人間たちによって動かされていると思う。狂人が狂った目的のために支配しているんだ。そして僕は、そんなことを口にしたせいで狂っているとされ、隔離されかねない。そこが一番狂っているところだ」

- 1940年10月9日~1980年12月8日
- イギリス出身
- ミュージシャン、作詞作曲家、平和活動家
- ロックバンド「ザ・ビートルズ」の創設メンバーとして世界的な名声を得た。解散後もソロアーティストとして活動し、『Imagine』などの楽曲で反戦と平和を訴えた。音楽と社会運動の両面で20世紀の文化に大きな影響を与えた。
英文
“Our society is run by insane people for insane objectives. I think we’re being run by maniacs for maniacal ends and I think I’m liable to be put away as insane for expressing that. That’s what’s insane about it.”
日本語訳
「僕たちの社会は、狂った目的のために狂った人間たちによって動かされていると思う。狂人が狂った目的のために支配しているんだ。そして僕は、そんなことを口にしたせいで狂っているとされ、隔離されかねない。そこが一番狂っているところだ」
解説
この言葉は、ジョン・レノンによる政治的体制や社会構造に対する根本的な不信と批判を赤裸々に語ったものである。彼は、現代社会が理性や正義によって運営されているのではなく、破壊的で非人道的な目的のために狂気に満ちた者たちによって操作されていると断言している。そして、その現実を指摘する者が「狂っている」と見なされるという、認識の逆転と社会的抑圧の構造を「本当の狂気」として告発している。
この発言は、ベトナム戦争や冷戦時代の核兵器競争、公民権運動といった政治的・軍事的な暴力が日常化していた時代背景を踏まえている。レノンは、国家やメディア、権力の欺瞞に対し一貫して異議を唱えており、この言葉もその精神の延長にある。正気とは何か、狂気とは誰が決めるのかという哲学的問いをも内包する発言である。
現代においてもこの言葉は鋭い意味を持ち続ける。利益や支配のために動くシステムに対して違和感を覚える者が「過激」「非現実的」と切り捨てられる構造は今も存在する。レノンのこの一言は、社会の基盤が本当に正気かどうかを問い直し、声を上げること自体が勇気ある行為であるというメッセージを私たちに突きつけている。狂気は制度の中にある――それを暴く者が狂人とされることの皮肉を、この言葉は見事に表現している。
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