「不自然なものも、また自然である」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“The unnatural, that too is natural.”
日本語訳
「不自然なものも、また自然である」
解説
この名言は、一見「自然」から外れているように見えるものも、広い意味では自然の一部にほかならないという、ゲーテの深遠な自然観を表している。人間の行動や創造物、あるいは逸脱とされる思想や現象も、自然の法則と人間という存在の延長線上にある以上、「自然の中の出来事」であるとする包摂的な見方である。つまり、「自然」と「不自然」は対立ではなく、連続性の中にあるという洞察がここにある。
ゲーテは自然科学にも深い関心を持ち、色彩論や形態学を通じて、すべての現象が必然性と多様性の中で成り立っていることを追求した。彼のこの言葉には、人間の偏見や価値判断を超えて、現象そのものを「あるがまま」に見ようとする態度がにじんでいる。たとえ常識から外れて見えるものでも、それが起こる必然と理由を持つ限り、それもまた自然の一部であるという認識である。
現代においても、この名言は極めて示唆的である。多様性や価値観の対立が議論される中で、「不自然」とされるものを拒絶するのではなく、それも自然の表現のひとつとして理解する包容力が求められている。この言葉は、自然とは静的な理想ではなく、変化と多様性を内包する動的な現象であるという真理を思い出させてくれる。ゲーテは、「自然」という言葉の本当の意味を、私たちに深く問い直させる哲学者でもあったのである。
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