「言葉にできぬものの仲介者は、芸術作品である」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“The mediator of the inexpressible is the work of art.”
日本語訳
「言葉にできぬものの仲介者は、芸術作品である」
解説
この名言は、人間の感情・思想・真理の中には言葉では完全に表現しきれないものがあり、それを他者に伝える手段として芸術が存在するという、ゲーテの深い美学的認識を表している。音楽、絵画、詩、彫刻などの芸術は、論理や言語では到達できない領域――感動、神秘、存在の本質――を媒介する力を持っている。つまり、芸術は人間の内なる「語りえぬもの」と世界をつなぐ橋なのである。
ゲーテは詩人であると同時に、美術・音楽にも深い理解を示し、芸術を「世界の魂」に触れる手段として捉えていた。この名言には、芸術は単なる装飾や娯楽ではなく、言葉の限界を超えて真理を伝える神聖な働きを持つという彼の信念が込められている。彼にとって芸術とは、理性の外にある「感じる力」を通じて、普遍的なものをつかむ手段であった。
現代においても、苦しみや愛、死や超越的な体験などは、しばしば言葉にできない深さを伴う。そうしたとき、人は音楽に涙し、絵に心を奪われ、詩に癒やされる。この名言は、芸術とは言語を超えて心と心をつなぐ普遍的な対話であり、人間の内面のもっとも深い部分を明るみに出す力があると教えてくれる。ゲーテは、言葉を超えるものの伝達者としての芸術の尊厳と使命を、この一文に託しているのである。
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