「人生を祝福されたものにするのは、自分の好きなことをすることではなく、やらねばならぬことを好きになることである」

• 1749年8月28日～1832年3月22日
• ドイツ出身
• 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家

英文

“It is not doing the thing we like to do, but liking the thing we have to do, that makes life blessed.”

日本語訳

「人生を祝福されたものにするのは、自分の好きなことをすることではなく、やらねばならぬことを好きになることである」

解説

この名言は、真の幸福とは欲望の実現ではなく、義務や現実を受け入れ、それを前向きに愛する姿勢から生まれるという、ゲーテの成熟した人生観を表している。多くの人は「好きなことを仕事にしたい」「自由に生きたい」と願うが、ゲーテはそれに対して、人生の本質は「選べないものをどう愛するか」にあると説いている。

「やらねばならぬこと」とは、責任、日常の義務、あるいは社会的役割を指している。これらは多くの場合、自分の欲求とは一致しないが、それでもそれを受け入れ、自らの意志で意義を見出し、愛することができたとき、人生は深い充実に満たされる。この態度は、自由意志による服従、すなわち「意志ある従順」こそが真の幸福をもたらすという逆説的な真理を含んでいる。

現代においても、「やりたいこと」への執着が強調される風潮の中で、この名言は「与えられた現実を愛する力」こそが人生の質を決定づけるという本質的な教訓を与えてくれる。ゲーテのこの言葉は、外的状況を変えるよりも、内的な姿勢を変えることで人生を豊かにできるという、静かで力強い自己形成の知恵に満ちている。

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