「語られるすべての言葉は、私たちの自我を呼び覚ます」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“Every spoken word arouses our self-will.”
日本語訳
「語られるすべての言葉は、私たちの自我を呼び覚ます」
解説
この名言は、言葉がもつ心理的影響力と、人間の内面的な反応の関係を鋭く捉えたゲーテの洞察である。誰かに何かを語られたとき、私たちは単に情報としてそれを受け取るのではなく、無意識のうちに自己の意志や信念と照らし合わせ、反応する。つまり、言葉は私たちの内なる「自我(self-will)」を刺激し、同意、反発、拒否、主張といった様々な心理的運動を引き起こすのである。
ゲーテは、人間の思考や対話における動的な側面に深い関心を持っていた。彼にとって、言葉は単なる伝達手段ではなく、人格や意志の発火点であり、心の深層にまで働きかける生きた力であった。この名言は、対話とは相手を説得する以上に、自己を刺激し、試される場でもあるということを示している。
現代社会においても、この言葉は大きな意義を持つ。SNSやメディアを通じて日々膨大な言葉にさらされる私たちは、そのたびに自我を揺さぶられ、反応し、意見を形成する。この名言は、言葉が他人に作用するだけでなく、自らの意志や信念を呼び起こすきっかけになるという、コミュニケーションの本質的な二面性を鋭く突いている。語られる言葉の力と、それに応じて立ち上がる自己の意志こそが、人間の自由と創造の出発点であるという普遍的な真理が、この短い一文に凝縮されている。
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