「私たちは木の本質を深く見つめることをしない。木に実際に触れ、その確かさやざらついた樹皮を感じ、その一部である音を聞くこともしない。葉を通り抜ける風の音でもなく、朝のそよ風が葉を揺らす音でもなく、幹の音、そして根の静かな音である」

- 1895年5月11日~1986年2月17日(90歳没)
- インド出身
- 思想家、精神的指導者
英文
”We never look deeply into the quality of a tree; we never really touch it, feel its solidity, its rough bark, and hear the sound that is part of the tree. Not the sound of wind through the leaves, not the breeze of a morning that flutters the leaves, but its own sound, the sound of the trunk and the silent sound of the roots.”
日本語訳
「私たちは木の本質を深く見つめることをしない。木に実際に触れ、その確かさやざらついた樹皮を感じ、その一部である音を聞くこともしない。葉を通り抜ける風の音でもなく、朝のそよ風が葉を揺らす音でもなく、幹の音、そして根の静かな音である」
解説
この言葉は、対象を表面的にではなく、本質的に観察する姿勢の重要性を示している。クリシュナムルティは、木という身近な存在を例に、人間が自然や物事を浅くしか見ていないことを批判する。私たちは木を視覚的に認識しても、その内在する質感や静けさ、生命の深みにまで心を開くことは少ない。
ここで強調されるのは、五感を超えた感受性である。風や葉の揺れといった外的な現象ではなく、幹や根の持つ「沈黙の音」に触れることが、存在の本質に近づく道である。これは木に限らず、人間関係や自己理解においても同じであり、表層にとどまらず奥行きを観察することが真の理解につながる。
現代社会において、この洞察は深い示唆を与える。情報やイメージに支配された生活では、物事を速く消費し、表面的にしか接しない傾向が強い。クリシュナムルティの言葉は、自然や世界を深く感じ取り、その静かな本質に耳を澄ますことの大切さを思い起こさせ、より豊かな感受性を育む指針となっている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?