「専制と無政府は決して遠く離れたものではない」

ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
  • イギリス出身
  • 哲学者、法学者、社会改革者

英文

”Tyranny and anarchy are never far apart.”

日本語訳

「専制と無政府は決して遠く離れたものではない」

解説

この言葉は、政治権力のあり方に関するベンサムの鋭い洞察を示している。専制とは権力が過度に集中し、人々の自由を抑圧する状態を指し、無政府とは権力の不在によって秩序が崩壊する状態を意味する。ベンサムは、この二つは正反対に見えて実は近接しており、専制が極まれば社会は崩壊し無秩序に陥り、逆に無秩序が広がれば強権による専制が生じやすいと指摘している。

この発想は、18世紀から19世紀の政治思想の文脈に位置づけられる。当時のヨーロッパは、フランス革命やナポレオン戦争を経て、自由を求める民主的な運動と、秩序維持を名目とした専制的支配のせめぎ合いにあった。ベンサムの功利主義は、こうした状況に対し、どちらの極端にも偏らず、社会全体の幸福を最大化する中庸の政治運営が必要であるとする実用的指針を提示したといえる。

現代社会においても、この警句は有効である。例えば、治安維持のための強権的措置が行き過ぎれば人権侵害となり、逆に権力の統制が弱まりすぎれば無秩序や暴力が横行する。民主主義国家においても、バランスを誤れば専制と無政府の危険は常に隣り合わせにある。ベンサムの言葉は、安定した社会の構築には権力の制御と法の支配が不可欠であることを強調している。

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