「法律家の力は、法律の不確かさの中にある」

ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
  • イギリス出身
  • 哲学者、法学者、社会改革者

英文

”The power of the lawyer is in the uncertainty of the law.”

日本語訳

「法律家の力は、法律の不確かさの中にある」

解説

この言葉は、法律の不明確さが弁護士や法律家の権力の源泉となるという皮肉を込めた指摘である。法律が単純で明快であれば、誰もが容易に自らの権利や義務を理解し、法律家の助けを借りる必要は少なくなる。しかし実際には、法律は複雑で解釈の余地を残しているため、専門家である法律家の影響力が大きくなる。ベンサムは、ここに社会的不平等や権威の源泉を見ていたのである。

この発想は、18世紀から19世紀にかけての法改革運動の文脈で理解すべきである。当時のイギリスの法律制度は、古い慣習法や複雑な判例に依存しており、一般市民にとって理解しがたいものであった。ベンサムは功利主義の観点から、法律は簡潔かつ合理的で、誰にでも分かるものでなければならないと考え、成文法による法典化を提唱した。この警句は、既存の法体系に対する批判を示すものでもある。

現代社会においても、この洞察は依然として重要である。例えば、税法や契約法などの複雑な分野では、専門家の解釈や交渉力が大きな力を持ち、市民や企業は弁護士に依存せざるを得ない。ベンサムの言葉は、法の透明性とアクセスのしやすさを高めることが、真に公正な社会を築くために必要であるという教訓として受け止められる。

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