「個人の利益を理解せずして、社会全体の利益を語るのは空しいことである」

- 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
- イギリス出身
- 哲学者、法学者、社会改革者
英文
”It is vain to talk of the interest of the community, without understanding what is the interest of the individual.”
日本語訳
「個人の利益を理解せずして、社会全体の利益を語るのは空しいことである」
解説
この言葉は、個人と社会の関係性についてのベンサムの根本的な考えを示している。彼は功利主義の立場から、社会の幸福は抽象的に存在するものではなく、個々人の幸福の総和として成り立つと考えた。したがって、個人の利益を無視して「共同体の利益」を論じても、それは根拠を欠いた空虚な議論に過ぎないというのである。
この発想は、啓蒙思想の影響を強く受けたものである。18世紀から19世紀の社会は、国家や教会などの大きな権威が個人を抑圧する構造を持っていた。ベンサムはそれに対し、個人の幸福を出発点としてこそ、合理的な法や制度が構築できると主張した。この考え方は、個人の権利と自由を重視する近代的な社会契約論や法思想とも響き合う。
現代社会においても、この言葉は重要な意味を持つ。例えば、公共政策や経済政策を論じる際、「国益」や「社会のため」という抽象的な言葉が用いられることが多い。しかし、それを実際に担うのは個々人であり、市民一人ひとりの生活や権利を尊重しなければ真の共同体の利益は実現しない。ベンサムの言葉は、今日でも社会全体の幸福を考えるには、個人の視点を軽視してはならないという普遍的な教訓を与えている。
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