「自ら考え、独自に思索する者は、常に感謝に値する。その考えが正しいか誤っているかは問題ではなく、明確であることが重要である。正しければ指針となって導き、誤っていれば警告灯となって戒める」

- 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
- イギリス出身
- 哲学者、法学者、社会改革者
英文
”He who thinks and thinks for himself, will always have a claim to thanks; it is no matter whether it be right or wrong, so as it be explicit. If it is right, it will serve as a guide to direct; if wrong, as a beacon to warn.”
日本語訳
「自ら考え、独自に思索する者は、常に感謝に値する。その考えが正しいか誤っているかは問題ではなく、明確であることが重要である。正しければ指針となって導き、誤っていれば警告灯となって戒める」
解説
この言葉は、ベンサムが独立した思考の価値を高く評価していることを示すものである。彼は、権威や慣習に依存するのではなく、自分の頭で考えること自体が社会に貢献すると考えた。思考が正しければ他者の道を導き、誤りであっても他者にとっての警告となり、いずれにせよ人類の知識や実践の向上に寄与すると説いている。
この発想は、啓蒙思想の潮流と密接に関わっている。18世紀から19世紀にかけての時代は、理性と批判的思考が従来の宗教的権威や伝統に挑戦した時代であった。ベンサムはその中で、自律的な理性の行使が社会改革や幸福の増進に不可欠であると主張した。つまり、思索の正誤よりも、そのプロセス自体に価値があると捉えたのである。
現代においても、この言葉は大きな意義を持つ。例えば、科学研究や社会的議論の場において、誤った仮説や少数意見であっても、それは新しい発見や批判的検証の契機となり得る。ベンサムの指摘は、自由な思考と表現を奨励することが、進歩に不可欠であるという普遍的な教訓として、今日の民主主義や学問の営みにも強く響いている。
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