「検閲から生じる害悪については、それがどこまで及ぶのか分からないため、測ることは不可能である」

ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ジェレミ・ベンサムの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1748年2月15日~1832年6月6日(84歳没)
  • イギリス出身
  • 哲学者、法学者、社会改革者

英文

”As to the evil which results from a censorship, it is impossible to measure it, for it is impossible to tell where it ends.”

日本語訳

「検閲から生じる害悪については、それがどこまで及ぶのか分からないため、測ることは不可能である」

解説

この言葉は、検閲の持つ危険性を明確に指摘しているものである。検閲は一見して特定の出版物や言論を制限する行為に留まるように見えるが、実際にはその影響は際限なく広がっていく可能性がある。ベンサムは、検閲が人々の思考や表現を委縮させ、自由な社会の基盤を脅かすことを強く警告しているのである。

時代背景として、18世紀から19世紀のヨーロッパは、絶対王政から立憲主義や自由主義への転換期にあった。言論や出版の自由は新しい社会の礎として求められていたが、権力者による検閲が依然として強く行われていた。その中で功利主義の思想を展開したベンサムは、社会全体の幸福を高めるには自由な情報の流通が不可欠であると考え、このような警句を述べたと解される。

現代においても、検閲は国家による直接的な統制だけでなく、インターネット上でのプラットフォーム規制や自己検閲の形を取って現れる。例えば、SNSでの言論制限や報道の自主規制は、どこまでが正当でどこからが過剰かを測ることが難しい。ベンサムの指摘は、今日でも「表現の自由は守らなければいつの間にか失われる」という普遍的な警告として受け止められるべきである。

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