「演じることは、幸せな苦痛である」

ジャン=ポール・サルトル
ジャン=ポール・サルトルの名言
  • 1905年6月21日~1980年4月15日
  • フランス出身
  • 哲学者、小説家、劇作家
  • 実存主義を提唱し、『存在と無』や『嘔吐』を通じて20世紀思想に大きな影響を与えた

英文

“Acting is happy agony.”

日本語訳

「演じることは、幸せな苦痛である」

解説

この名言は、サルトルが演技の複雑な感情について述べたものと解釈できる。「幸せな苦痛」という表現は、演技がもたらす喜びと同時に、自己の限界や感情に向き合う苦痛を指している。演じることは自己を他者に置き換え、感情を深く掘り下げる行為であり、それには大きな情熱と努力が必要とされる。サルトルは、演技の過程で生じる内的な苦痛が、役を生きることで得られる充実感や満足感と表裏一体であると考えている。

また、この言葉には自己探求と表現の矛盾が含まれている。演技者は他者を演じる中で、自己を表現し、深く掘り下げる作業を行う。役に入り込むために感情や心理を探求する過程には、痛みや困難が伴うが、その経験を通じて自分自身も成長し、満たされるという二重性が存在する。サルトルは、演技の中での「苦痛」を、自己超越や自己理解の喜びとして肯定的に捉えている。

さらに、この名言は、創造的な努力とその報酬の関係を表しているともいえる。真剣に役に取り組むことで得られる達成感や自己表現の喜びは、必ずしも容易には得られないものである。サルトルは、この「幸せな苦痛」を通して、自己の限界を試し、他者の心を動かす行為が、演技の本質的な喜びであると示している。この言葉は、演技だけでなく、他の創造的な表現にも共通する情熱と苦痛の融合を感じさせるものである。

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