「行政権は、いかなる場合においても、戦争を宣言すべき理由があるか否かを決定する権利を持たない」

ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
  • 1751年3月16日~1836年6月28日(85歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、第4代アメリカ合衆国大統領、「合衆国憲法の父」

英文

”The executive has no right, in any case, to decide the question, whether there is or is not cause for declaring war.”

日本語訳

「行政権は、いかなる場合においても、戦争を宣言すべき理由があるか否かを決定する権利を持たない」

解説

この言葉は、戦争権限の所在についての明確な原則を示している。ジェームズ・マディソンは、戦争の是非を決定する権限を大統領や行政権に与えることは、権力の乱用と専制の危険を招くと考えていた。戦争の負担を最も直接的に背負うのは人民である以上、その決定は人民の代表である議会にのみ属すると強調している。

この背景には、建国期アメリカがヨーロッパの君主制国家のあり方を強く意識していたことがある。王や政府が恣意的に戦争を開始し、その犠牲を国民に押し付けてきた歴史への反発から、アメリカ合衆国憲法は議会のみが宣戦布告の権限を持つと規定した。マディソンの言葉はその根本思想を補強するものであり、権力分立の核心をなす。

現代においても、この問題は重要である。行政権による軍事行動の拡大や「宣戦布告なき戦争」は20世紀以降繰り返されてきた。マディソンの警句は、戦争決定権を議会に限定することこそが民主主義と自由を守るための基本原理であることを改めて示している。

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