「財産権が生まれる源である人間の能力の多様性は、利害の一様性を妨げる克服不可能な障害である。そしてこれらの能力を保護することこそが政府の第一の目的である」

- 1751年3月16日~1836年6月28日(85歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、第4代アメリカ合衆国大統領、「合衆国憲法の父」
英文
”The diversity in the faculties of men, from which the rights of property originate, is not less an insuperable obstacle to an uniformity of interests. The protection of these faculties is the first object of government.”
日本語訳
「財産権が生まれる源である人間の能力の多様性は、利害の一様性を妨げる克服不可能な障害である。そしてこれらの能力を保護することこそが政府の第一の目的である」
解説
この言葉は、人間の才能や能力の違いが財産権の基盤となり、同時に利害の一致を不可能にするという現実を示している。マディソンは、すべての人間が異なる資質を持つため、富や財産の所有にも差が生まれるのは避けられないと考えた。そのため、政府の役割はこれらの多様な能力を保障し、公正に保護することにあると強調している。
アメリカ建国期において、この思想は憲法の制度設計に深く関わった。特定の階層や利益集団に権力が集中すれば、他の人々の権利が侵害される恐れがある。マディソンは、財産権と能力の自由な行使を守ることが共和制政府の基本的義務であると位置づけたのである。
現代においてもこの視点は重要である。経済格差や社会的対立は、人間の能力や機会の不均衡から生じる。しかし政府がそれを抑圧するのではなく、教育や法の下で保障し、公平な競争環境を整えることが求められる。マディソンの言葉は、自由と多様性を守る制度こそが社会の安定と繁栄の基礎であることを示している。
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