「私は、憲法を国民が受け入れ批准したその意味に立ち返るのが正当であることに全面的に同意する。その意味においてのみ、それは正統な憲法である」

- 1751年3月16日~1836年6月28日(85歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、第4代アメリカ合衆国大統領、「合衆国憲法の父」
英文
”I entirely concur in the propriety of resorting to the sense in which the Constitution was accepted and ratified by the nation. In that sense alone it is the legitimate Constitution.”
日本語訳
「私は、憲法を国民が受け入れ批准したその意味に立ち返るのが正当であることに全面的に同意する。その意味においてのみ、それは正統な憲法である」
解説
この言葉は、憲法解釈の原点主義的立場を示している。ジェームズ・マディソンは、憲法の正統性は国民が合意し批准した時点の意味に基づくべきであり、後世の恣意的な解釈や拡張は憲法の本来の権威を損なうと考えていた。つまり、憲法の意義は制定当時の理解に忠実であることによって担保されるという立場である。
背景には、アメリカ建国期における憲法解釈の論争がある。強力な中央政府を志向する連邦派と、州権や地方自治を重視する反連邦派との間で対立があり、憲法の条文は妥協と解釈の余地を残すものとなった。そのため、マディソンは憲法を恣意的に解釈することを避け、批准時の合意という歴史的基盤に立ち返ることを強調したのである。
現代においても、この視点は「原意主義(originalism)」として憲法論争に影響を与えている。憲法を生きた文書として時代に応じて柔軟に解釈すべきだとする立場と、制定当時の意味を基準に解釈すべきだとする立場の対立は続いている。マディソンの言葉は、憲法の正統性をどのように担保するかという普遍的な課題を示しているのである。
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