「一方の労働を他者の所有物とすることによって、片方には誇りや贅沢、虚栄を育み、他方には悪徳や卑屈、あるいは憎悪と反抗を生み出す」

ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
  • 1751年3月16日~1836年6月28日(85歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、第4代アメリカ合衆国大統領、「合衆国憲法の父」

英文

”By rendering the labor of one, the property of the other, they cherish pride, luxury, and vanity on one side; on the other, vice and servility, or hatred and revolt.”

日本語訳

「一方の労働を他者の所有物とすることによって、片方には誇りや贅沢、虚栄を育み、他方には悪徳や卑屈、あるいは憎悪と反抗を生み出す」

解説

この言葉は、奴隷制度や不公正な労働搾取の弊害を鋭く指摘している。ジェームズ・マディソンは、他人の労働を財産として所有する仕組みが、支配する側に傲慢や虚栄を、支配される側に屈辱や反抗心を育むと警告した。つまり、この構造は双方にとって道徳的にも社会的にも有害であり、最終的には社会不安を招くと論じている。

背景には、18世紀末から19世紀初頭のアメリカ社会における奴隷制度の存在がある。マディソン自身はヴァージニアの奴隷所有者であったが、その制度の持つ倫理的・政治的矛盾を認識していた。奴隷制度は経済的利益をもたらす一方で、共和主義的理想や社会の安定を損なう要因でもあった。彼の言葉は、その矛盾を表現したものといえる。

現代においても、この警句は示唆的である。強制労働や過酷な搾取構造は、富を得る側と搾取される側の双方に負の影響を及ぼし、社会を分断する。マディソンの言葉は、不公正な労働制度は持続可能ではなく、必ず道徳的堕落や社会的対立を生むという普遍的な警告として受け取ることができる。

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