「純粋な民主政とは、少数の市民が集まり、自ら直接に政府を運営する社会のことである」

ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
ジェームズ・マディソン(画像はイメージです)
  • 1751年3月16日~1836年6月28日(85歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、第4代アメリカ合衆国大統領、「合衆国憲法の父」

英文

”A pure democracy is a society consisting of a small number of citizens, who assemble and administer the government in person.”

日本語訳

「純粋な民主政とは、少数の市民が集まり、自ら直接に政府を運営する社会のことである」

解説

この言葉は、純粋民主政の定義とその限界を述べている。ジェームズ・マディソンは、純粋民主政とは人民が代表を介さず直接政治に参加する体制であると説明している。しかし、その適用範囲は極めて限定的であり、人口の多い国家や広大な領土を持つ社会では機能しないと考えた。したがって、純粋民主政は古代ギリシャの都市国家のような小規模社会においてのみ成立し得るものであった。

背景として、マディソンは『フェデラリスト・ペーパーズ』において、派閥や多数派の専制が純粋民主政の最大の弱点であると指摘している。そのため彼は、アメリカ合衆国にふさわしい体制として、人民の意思を反映しつつも過剰な多数派支配を防ぐ代議制共和国を提唱した。これは権力分立や大規模国家での統治を可能にする制度的工夫であった。

現代においても、この区別は重要である。インターネットや直接投票制度の拡大により、市民が政策決定に直接関与する機会は増えているが、依然として代議制が民主主義の基盤である。マディソンの言葉は、民主主義の形態を理解し、直接民主と代議制の役割を区別する視点を与えており、現代の政治制度を考えるうえでも不可欠な指摘である。

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