「教育の逆説とはまさにこれである――人が意識を持ち始めるとき、自らが教育されている社会を検証し始める」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”The paradox of education is precisely this – that as one begins to become conscious one begins to examine the society in which he is being educated.”

日本語訳

「教育の逆説とはまさにこれである――人が意識を持ち始めるとき、自らが教育されている社会を検証し始める」

解説

この言葉は、教育が持つ解放と緊張の二面性を示している。教育の目的は人を目覚めさせ、批判的思考を育むことであるが、それは必然的に社会そのものを問い直す契機となる。したがって教育は社会秩序を再生産すると同時に、それを揺るがす可能性をも含んでいるのである。

ボールドウィンがこの逆説を語った背景には、アメリカの人種差別構造と教育制度がある。学校教育は一見普遍的価値を教えるように見えながらも、実際には差別や不平等を正当化する装置として機能していた。彼は、その教育を通じて意識を持った若者が必ず社会の不正を直視し、問いを投げかけることになると洞察したのである。

現代においても、この言葉は鮮烈である。教育を受けた人々は権威や制度を疑い、社会の変革を求めるようになる。これは国家や社会にとって危険であると同時に、進歩のために不可欠な動きでもある。教育は人を従わせるためでなく、人を自由にし、社会を見直させる契機となるという逆説的な真理は、今日の教育論にも深く響いている。

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